研究概要 |
石炭灰に若干のセメントと副原料を加えて作成した造粒石炭灰について,地盤材料としての有効利用を目的に研究を行った.造粒石炭灰を地盤材料として有効利用する上での環境影響評価を行うことを目的とし研究を実施した.具体的には,カラム透水装置を用いて,(1)カラム中の造粒石炭灰から溶出する重金属の分析,特に動水勾配やpHの違いの影響に着目,(2)カラム試験による実験結果を基に移流分散解析に必要なパラメータの同定,(3)移流分散解析結果に基づく人の健康被害リスク評価,を行った.得られた知見を以下に示す. (1)造粒石炭灰からの微量物質溶出挙動は,動水勾配の影響を受け,その挙動は微量物質の種類によって大きく異なることがわかった.また,微量物質溶出挙動は溶媒のpH依存性があること,さらにCaの溶出とも関係があることがわかった. (2)NaClによるトレーサー試験より,分散長の同定を行い,模擬液のトレーサー試験より,分配係数の同定を行った.BやCr(VI)ともに吸着特性は,線形平衡吸着モデルを用いることで良く表現できることがわかった. (3)同定したパラメータを用いて移流分散解析を行い,造粒石炭灰を用いた場合の周辺地盤での微量物質の濃度変化を定量的に評価した.また,その周辺地盤での微量物質の濃度を用いて人の健康被害リスク評価を行った.周辺地盤への溶出濃度は低く,健康被害リスクの値も小さく,環境影響は小さいことがわかった.また,吸着特性を評価することで微量物質の移流分散挙動は大きく変化することから,吸着特性を適切に評価することが重要である.
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