配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究は,地方分権化された地方交通基盤の整備を想定し,隣接する地域間の道路について地域政府が主体的に整備を行なう制度の有効性に関して,2地域一般均衡理論の枠組みを用いて分析を行った.特に,地方分権的整備制度として,各地域個別に自地域内のみ整備する「地域別整備制度」,地域間で共通のインフラ水準を達成するような「合同整備制度」についてそれぞれ分析を行なった. 「地域別整備制度」下では,地域の整備負担は互いに戦略的相補性を持つことが明らかとなった.地域間で人口が異なる場合、多人口地域は小人口地域より整備水準が良好になるが,地域間道路全体の整備水準は悪化する.一方,「合同整備制度」の場合には,人口が多い地域が整備費用をより多く負担するが,そのとき,地域間の人口がより非対称である場合に整備水準がより良くなる.「地域別整備制度」下では地域間人口の非対称性の増加は整備水準を悪化させるものの,その度合いは「合同整備制度」下でのそれより小さい.これは,前者の場合には制度上の連携は存在しないものの,戦略的相補性を通じた潜在的な連携が生じていると解釈できる.後者にあっては制度上は同一水準への合同整備という地域間連携が組み込まれているものの,整備に関する地域間の負担に関する代替性の存在により人口の少ない地域がフリーライドすることを可能にするため,片側の地域のみによって全ルートを整備せねばならず,全体として整備水準が急激に低下するといえる. 地域間で人口が大きく異なる場合には、合同整備制度のような制度を用いることで整備水準は良好になるものの負担の偏りが発生することが考えられる.地域が比較的対称で人口規模も同程度である場合には、地域が明示的な連携をとらず個別に整備を行うような制度の下でも暗黙の連携が発生することで良好な整備が進められる可能性がある.
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