研究概要 |
平成18年度における研究実績は以下の2点にまとめられる. 1.道路整備事業における環境アセスメントの現状と課題に関する研究 本研究では先進国の環境アセスメントの現状把握と福岡高速5号線を事例とした実態調査から,道路整備事業に対する環境アセスメント手続の課題について検討を行った.本研究で得られた知見を以下にまとめる. (1)整備区間の長い道路事業においては,計画路線全区間における連続的な環境影響評価が不可欠であり,道路がもつ広範な影響を考慮しても重視すべきと考えられる.また,住民のアセス書に対するアクセス性の向上や事業者の持つ情報の分かりやすさと透明化を吟味する必要性が改めて重要と考えられる. (2)事例調査より面的に区間内の基準値を重視する現行の環境アセスメント方法において,断面的観点からの分析が不十分であり,高さごとの影響予測に関しては限界が指摘される.事業推進と共に,都市計画決定手続の際に行われた環境アセスメントの結果を周辺土地利用や高さ規制などの施策に反映させることが重要と考えられる.さらにアセス情報を地域住民に早い段階から前もって周知しておくことで,事業を巡る周辺環境の変化から起こる予測誤差を防ぐなど,住民とのコンフリクト予防に寄与することが考察された.また都市計画に対してアセス知見を効果的に反映させるためには,事業内容の決定前にアセスを行うことが肝要であり,簡易アセスとティアリング(ただし環境アセスメント結果の有効期限の設定が必要)による環境アセス一連の流れが不可欠と考えられる. 2.成果のまとめと発表 06年度土木計画学研究発表会(春大会)において「合意形成プロセスと完成した空間デザインの質的事後評価にみる参加型整備事業の課題に関する考察」を発表,さらに土木学会論文集に「都市基盤整備におけるコンフリクト予防のための計画プロセスの手続的信頼性に関する考察」が掲載された.
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