研究概要 |
本研究では、暴露試験の気象環境を各劣化因子に分け、室内で人工的に劣化を再現する試験装置を開発し、屋外でのシーリング材の劣化の再現ができるかどうかの検討を行った。 劣化評価試験方法として、シーリング材の劣化に及ぼす影響要素を、ムーブメントとウェザリング(材料温度、日射量、水分)に分け、研究室保有の動暴露試験機を用いて、各劣化要素の計測を行なった。再現方法は、屋外暴露試験で得られた計測データを人工劣化試験装置に取り込み、屋外環境と同期させるものとした。 人工劣化試験装置については、ウェザリングとムーブメントの各劣化要素を再現するものとし、独自に組んだ制御プログラムにより電気的に制御し、屋外環境の条件と同期させた。 動暴露試験機に対する人工劣化装置の再現結果について、ムーブメント、材料温度、降雨(濡れの状態)については、ほぼ再現できた。しかし、日射量については、太陽光の総日射量が同じでも、波長分布が異なるなめ、完全に再現はできなかった。 次に、シーリング材(MS-1,MS-2,PU-1の3種類)を10ヶ月間暴露させ、屋外と人工のシーリング材の表面の劣化状況の観察を行った。 目視観察(ISO4628-4)及び顕微鏡観察の結果、MS-1、MS-2については、ウェザリングのみではひび割れは発生せず、ムーブメントが加わると、屋外暴露試験体と同じひび割れパターンが発生しており、人工劣化試験結果は、屋外での劣化と高い相関性があることを確認できた。PU-1では屋外暴露試験におけるシーリング材表面のように亀裂は発生せず、十分に再現することが出来なかった。
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