研究概要 |
本研究は,伝統構法による木造五重塔の振動特性を定量的に明らかにすることを目的としている.新築の伝統構法五重塔である三重県津市の津観音五重塔にて加速度計8台により地震観測を行っている.本年度は得られた地震応答加速度データの解析を行い,微動時・中規模地震時の塔の動的特性の考察を行った.伝統構法木造五重塔の動的特性,固有振動数や減衰定数はその最大振幅に依存すること,微動測定の結果とは異なる振動モードで振動することなどを明らかにした. 更に,(独)防災科学技術研究所の大型振動台にて,伝統木造五重塔の1/5縮小模型を対象に振動台加振試験を行った.昨年度,三重県津市で観測した2004年9月5日紀伊半島沖地震の加速度記録を用いた加振実験を行った.試験体は飛鳥様式五重塔の1/5模型であるため,相似則を考慮し入力波の時間軸を0.7倍に補正したものと源波および1995年兵庫県南部地震の加速度記録(JMA神戸NS)等を用いた.合計100カ所に計測器を設置し各部の変位・加速度を詳細に測定した.その結果,伝統構法五重塔の様式の差違,また加振波の違いによらず,地震観測で得られた結果と同様の傾向が認められることを明らかにした.本研究の成果を,日本建築学会大会および第3回都市地震工学国際会議にて発表した.
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