研究課題/領域番号 |
16760487
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
樋口 秀 長岡技術科学大学, 工学部(環境・建設系), 助教授 (90293258)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 高齢者居住 / 中心市街地 / 地方都市 / まちなか居住 / 賃貸住宅 / 分譲マンション / 特定優良賃貸住宅 |
研究概要 |
急速な少子高齢化が進む中、高齢者の居住に関する問題が顕在化している。一方、地方都市の中心市街地は、モビリティの低い高齢者にとって利便性が高く、福祉・中心市街地活性化の両面から高齢者用の住宅整備が有効と考えられている。しかしながら、どの程度の需要があるのか、どのような環境が整っていれば高齢者の居住・移住が可能なのかといった知見を示す研究はなかった。そこで、本研究は、昨年度、まちなか居住の身近な事例を把握するため新潟県内に立地する高齢者向け施設へヒアリングを行うとともに長岡市全体の高齢者の居住特性をクラスター分析により把握した。今年度は、市全体の高齢者および高齢者のみ世帯の居住意向を把握するため、アンケート並びにヒアリング調査を実施し、居住する地域や世帯類型別の定住・移住に必要な環境条件の差異を分析するとともに、高齢期の居住形態の一つとして中心市街地の高齢者用住宅に移住する可能性を検討した。 研究の結果、まず新潟県内のまちなかに立地する高齢者向け住宅の入居者の出身地域から、高齢期の住み替えは住み慣れた地域内での移動が多いことが明らかとなった。次に、今後の居住意向を世帯類型別にみると現在同居中の世帯は将来も同居継続を希望する傾向が強く、住み替えについては高齢者のみ世帯が検討する傾向にあることが示された。さらに、高齢者のみ世帯の移住可能性は「地域」の違いと関係があること、将来の居住意向については施設入居を希望する割合が高いことが示された。また、高齢者のみ世帯の住み替え希望をみると、定住意向が強く、施設入居の時期は曖昧で介護が必要になってから検討すると回答した世帯が多数を占めた。一方、元気なうちから高齢者用住宅に入居し、セカンドライフに対し期待を持って住み替えを検討する世帯も存在し、それらの世帯の多くが「生活利便性の確保」、「高齢者だけの暮らしの不安の解消」などを希望していることが明らかとなった。 今後、高齢者住宅への住み替え需要が増加し、求められるサービスも多様化すると推測される。生活利便性の確保を希望する世帯が多いことから、それらを享受することのできる中心市街地は有効といえる。高齢期のまちなか居住というライフスタイルを浸透させるためには、具体的な住み替え後のライフスタイルを提示することが必要である。また、住み替えに当たっては従前住宅の扱いが課題といえる。さらに、家賃が低廉であり、健康状態が悪化しても住み続けられるような仕組みと、住宅のみならず住み替え先でも活動的に生活できるような中心市街地全体の一体的整備が求められている。
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