研究概要 |
平成17年度は、前年に行なった高温炉開発および高温用サンプルセル開発に基づいて、SPring-8, KENS Sirius, JRR-3 HERMES等での高温In-situ回折実験を行なった。さらに、KENS LAM-DやLAM-40を用いた非弾性散乱実験、更には研究室におけるX線回折実験等をも補足的実験として行なった。これらの結果、Cd-Yb系での2/1近似結晶の存在が示唆されるデータが得られ、現在解析中である。液相構造に関しては融点(T_M)以上の広い温度範囲でS(Q)が殆ど変化しない事が分かった。現在これらのデータの逆モンテカルロ法を用いた解析を進めているところであるが、現在までに、液相中での局所的な原子クラスターの形成は見られていない。この事とS(Q)の温度変化が小さい事を考え合わせると、少なくともT_Mより上では、いくらT_Mに近いとはいえ十分乱雑な液体状態にあり、準結晶相に見られるクラスター構造は液相中にまで安定であるような物ではないと示唆される。近日中に解析結果をまとめ論文発表する予定である。さらに、関連する物質の研究として、Zn系準結晶の磁気揺動研究を最終的に完成させ論文出版を行なった。一方で、Cd-Yb準結晶に関しては、温度軸では無く、圧力軸方向への構造変化も興味の対象であるが、この研究を希望したSPring-8綿貫研究員グループに試料を提供し、その結果が論文発表された。
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