研究課題/領域番号 |
16760541
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 剛 東京大学, 物性研究所, 助手 (80345230)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 単結晶基板 / 薄膜 / PLD / 酸化物 / 表面 |
研究概要 |
分子層ステップは結晶面と基板の切り出し面が一致しないことにより生じるため、ステップ密度はそれらがなす傾斜角と方位によって決まる。ステップ密度の変化には基板表面内での物質輸送が欠かせない。そこでまず、外部から原料を供給しない場合において、基板表面内での高温下の物質輸送がどのように起こるかを調査した。SrTiO_3 (100)表面上では熱処理によって、(1)基板内部からSrO_xが表面に析出し、(2)これが凝集してサブミクロンサイズのパーティクルを形成することがわかった。結果として少なくとも表面近傍はSrが欠損することがわかった。さらに(3)ステップエッジがステップの高いほうに流れていく(ステップフロー的な蒸発)と同時に、パーティクルにピニングされて何重にも重なっていく様子が観測された。すなわち、単純な熱処理だけではステップ密度とその方向を制御できないだけでなく、表面近傍でのカチオン欠損(点欠陥)導入とパーティクル形成が起こってしまうことが明らかになった。 結果として、比較的低温で外部から基板と同じ材料を供給する必要性が明らかとなった。パルスレーザー堆積法(PLD法)により、傾斜方向に堆積量(膜厚)を傾斜させることでステップ密度の増減を計画した。膜厚の傾斜には高精度な可動マスクを備えたPLD装置が必要であったが、つい最近完成したばかりで研究には間に合わなかった。 しかしながらこの開発期間を利用して、関連する研究を進めてきた。SrTiO_3にドナーとなるNbをドープしたホモエピタキシャル薄膜において、これが活性化して導電性となるどうかを調べることにより、SrTiO_3中のカチオン欠損欠陥の存在とその定量ができることがわかった。加えてノンドープSrTiO_3薄膜の誘電特性評価の結果、これらの欠陥が界面準位を形成し、特に低温での誘電特性を劣化させることなどを突き止めた。
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