研究課題/領域番号 |
16760558
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村上 恭和 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (30281992)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 電子線ホログラフィー / 透過電子顕微鏡 / ローレンツ顕微鏡法 / マンガン酸化物 / ペロブスカイト / 巨大磁気抵抗 / 磁区 / 相変態 |
研究概要 |
平成17年度は以下のような研究を実施した。 1.ドメイン構造制御を目指したTEM内での電場印加システムの開発 前年度試作したホルダーを用いた局所領域への電場印加が可能となった。具体的には同ホルダーに微小プローブを搭載し、サブナノ領域へ10^<-6>〜1Vの電圧を印加できるようになった。 2.マンガン酸化物のドメイン構造に関する磁場・電場・温度依存性の微視的解明 La-Sr-Mn-O系酸化物を用いて、ドメイン構造の外場依存性を微視的に評価した。La-Sr-Mn-Oでは、電子顕微鏡的スケールで観察を行った場合、キュリー温度近傍で不均一な磁化分布が観察され、その微細構造は10mTオーダーの磁場や僅かな温度変化で著しく変化することを示した。また、上記ホルダーの電場印加機能を応用して、局所領域の電流-電圧特性の測定を行い、電子顕微鏡内で局所領域の相同定を行えることを実証した。 3.電荷整列と強磁性が競合したヘテロ構造の解析 電荷整列と強磁性が短範囲秩序レベルで混在するSm-Eu-Sr-Mh-O系酸化物を観察した。微弱な散漫散乱を利用した暗視野像観察により、電荷整列は数nm程度の拡がりを持って実現しており、これに伴い微視的なドメイン構造が生じることがわかった。電場印加により、このドメイン構造の操作を試みたが、この物質はキュリー温度が低いために、工学的にも重要な室温近傍でのドメイン操作は難しいことが判明した。しかしながら、ドメイン構造の電場依存性の動的観察技術は確立され、この問題に対する研究水準を確実に向上させることができた。 4.まとめ TEMベースの新評価技術を開発し、マンガン酸化物のドメイン構造の外場依存性を詳細に評価した。本研究を通して、相変態温度近傍のドメイン構造が外場に極めて敏感なことが実証され、且つその組織変化が同物質の電気的性質にも大きな影響を及ぼすことをドメイン観察の立場から示した。
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