研究概要 |
前年度には、Ni-M-Zr(M=Ti, Zrなど)三元系アモルファス合金膜の作製と水素透過性の評価、およびNi-Nb-Zr合金膜のスパッタ製膜の予備的調査、アモルファス形成能の観点からの熱力学的考察を行った。 平成17年度は前年度に引き続き、組織制御されたアモルファス水素透過膜の作製を試みた。作製手法としては単ロール液体急冷凝固法とともに、スパッタ法による水素透過膜の作製を試みた。本水素透過膜の作製に際しては、膜の両面に水素ガス分子の水素原子への解離を促進する目的でPd金属をスパッタ法を用いて被覆した後、水素透過性を調べた。その結果、スパッタ法を用いてもアモルファス膜を作製することが出来た。また、前年度の研究結果からNi,Nb, Zrの各元素のスパッタレートの違いを考慮し、本年度はほぼ期待通りの組成を有する製膜を行うことが出来た。使用した多孔質基材の調整を行い、セラミックス多孔質基材、金属焼結体多孔質基材を使用し、製膜を行った。スパッタ法による製膜の場合、薄膜では基材上の孔を完全に塞ぐ緻密薄膜の作製は困難であった。 さらに耐水素脆性の向上のために組成の調整を行い、Ni-Nb-Zr合金にCoを添加したNi-Nb-Zr-Co合金で、比較的耐水素脆性の向上が見られた。この合金では、300℃程度の温度では数百時間にわたる長時間の透過試験を行っても、透過流量の低下・経時劣化はNi-Nb-Zr合金に比べて少ないことが分かった。
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