研究課題/領域番号 |
16760568
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
玄 丞均 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教授 (50346178)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
|
キーワード | ポーラス金属 / 金属間化合物 / 気孔 / NiTi / 圧縮強度 / ポロシティ / 一方向凝固 / 水素 / Ni3Al / 引張強度 |
研究概要 |
生体インプラント材料等への応用を目指して多孔質ニチノール(NiTi)が研究されてきたが、焼結等の従来の作製方法では材料組織及び気孔形態の制御が困難であるため、超弾性が発現できるものは気孔率が低い試料に限られていた。多孔質NiTiを生体材料に適用するには、高い気孔率を与えて弾性率を下げ、且つその状態で超弾性を発現することが重要である。本年度ではロータス型ポーラスNiTiを作製し、圧縮試験を行って超弾性挙動を調べた。 水素-ヘリウム混合雰囲気下において、Ni:49.7at.%、Ti:50.3at.%の組成を持つNiTiを用いて連続帯溶融法で一方向凝固させ、ポーラス化を試みた。全圧2.5MPa一定として水素分圧を変化させ、5つの条件で試料を作製した。作製したポーラス試料をワイヤーカット放電加工機により切り出し、光学顕微鏡で気孔形態を観察した。凝固方向に垂直な断面でX線回折測定を行い、相同定を行った。また圧縮試験を行うために、Ni:50.9at.%、Ti:49.1at.%の組成を持つポーラスNiTiを作製し、1323K×86.4ksの脱水素焼鈍を行った。その後5×5×5mm^3の圧縮試験片を切り出し、1273K×5.4ksの溶体化処理と673K×3.6ksの時効処理を行った。この試料を用いて気孔の成長方向と平行な方向及び垂直な方向に対して、与える歪みを1%ずつ増やす圧縮サイクル試験を室温で行なった。比較のために全圧2.5MPaのヘリウム雰囲気下でノンポーラスNiTiを作製し、同様の実験を行った。 全圧2.5MPa一定として水素分圧1.75MPa以下で作製した試料では一方向に伸びた気孔が観察されるが、2.0MPa以上で作製した試料では気孔同士の癒着が見られる。NiTiの気孔形態は水素分圧が高くなるに伴い、不均一になることが明らかになった。また、均一な気孔形態を有する試料についてX線回折測定を行った結果、オーステナイト相のNiTiとマルテンサイト相のNiTiのみが同定された。この結果、水素-ヘリウム混合加圧雰囲気下で一方向凝固によってロータス型ポーラスNiTiの作製が可能であることを確認した。 均一な気孔を得るため圧縮試験用のポーラスNiTiは水素分圧1.5MPaで作製を行った。気孔と平行方向に荷重を負荷した場合、超弾性を発現してノンポーラスと同程度の回復歪みが確認される。気孔と垂直方向に荷重を負荷した場合、歪みの増加に伴いクラックが入るため、大きな超弾性ヒステリシスループは観察されない。これは気孔周辺で応力集中が発生し、塑性変形が起こりやすいためであると考えられる。このように超弾性において、形状回復挙動の気孔方向による異方性が明らかになった。
|