研究概要 |
腐食センサーを導入した模擬構造体の屋外腐食試験を継続するとともに,腐食安全性をより正確に評価するために環境センサーとしてACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサーに注目し,屋外環境および実験室内で連続的に測定した。ACMセンサーの出力は相対湿度の上昇とともに増加し,さらに付着塩量にも比例することが確認された。これは材料表面での濡れに対応する情報をモニターできることを示唆しており,環境センサーとしての有用性が明らかとなった。また,ACMセンサーの出力感度は非常に高く,表面に形成される水膜の厚さが1μm以下でも検出可能であることがわかった。 一方,腐食モニタリングにおいては前年度に検討した腐食センサーについて種々の金属材料(Fe-Ni系およびFe-Cr系)で腐食モニタリングを行った。腐食センサーの出力は金属の種類に関係なく相対湿度の上昇とともに増加し,表面に形成される水膜の厚さが数十μmのときに出力が最大になることがわかった。材料の違いは,水膜の厚さが数十μm以下のときに顕著に表れ,腐食センサーの出力から計算される腐食速度はNiやCrの添加量とともに低下することがわかった。これらの結果は従来の屋外暴露試験での結果と対応しており,炭素鋼以外の他の鉄鋼材料でも腐食センサーの電極材料を代えることで腐食をモニターできることを示している。また,センサー電極の温度を制御できるように改良した腐食センサーを用いて実験室内での腐食シミュレーションを行った。屋外環境での腐食挙動と比較することにより,腐食におよぼす結露の影響について明らかにした。
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