研究概要 |
核融合装置におけるプラズマ・壁相互作用では,将来炉における高熱負荷,粒子束下での壁損傷・損耗が起こり,それらの一部がダストとして炉内を輸送されることがトリチウム蓄積の観点からも問題視されている.本研究ではダストの発生プロセスに着目し,大型ヘリカル装置(LHD)においてプラズマ放電中の第一壁温度の変化を測定し,その際に観測されたダストとプラズマパラメータとの関係について下記の成果を得た. 1.LHDにおける赤外線カメラで観測された熱化したダストの輸送速度は10-20m/sであり,生成されたプラズマの持続時間2.5秒の中盤(1.0-1.5秒)で観測された.また放射崩壊時にはこのようなダストは観測されなかった.この放電における第一壁背面に設置された熱電対による温度変化は37-43度であり,ダストの温度は第一壁に対して約5度高いと推定される.2.ダストが観測された領域近傍の第一壁(CFC材)表面を走査型電子顕微鏡で観測し,損耗領域では厚み1-2ミクロンの剥離前と考えられる薄膜状のままバルクタイルに繋がっているCFC材片が多数観測された.赤外線カメラの計測では放電中に局所的温度上昇が多数観測され,これが薄膜化CFC材に局所的な熱が集中した結果であると考えられるが,同計測で剥離過程そのものの像は得られなかった.そのためダスト生成時は微小な温度変化による変化が生じていると考えられる. 本研究により得られた実機におけるパラメータから,今後モデル計算との比較による新たな成果が期待できる.
|