研究課題
若手研究(B)
トカマクプラズマは高い自律性を有し、様々な時定数及び特徴的長さを持つ乱流揺動が存在し、またパラメーターに依存して二次的、三次的に生成される帯状流及び大規模な渦構造等が生成されるため、これらが相互作用しつつ乱流輸送過程を支配している。本研究では、プラズマの乱流状態の定量的な同定手法の確立を目的として、電子系/イオン系のダイナミクスによって形成される電子/イオン温度勾配(ETG/ITG)乱流に関して、スラブシア配位におけるジャイロ流体シミュレーションを行い、帯状流形成等の乱流構造の変化が相関次元、確率分布関数(PDF)、相互相関、三次相関等の統計量に与える影響を系統的に明らかにした。イオン系乱流のみならず電子系乱流においても、磁場構造の半径方向の変化が小さい(弱磁気シア)領域では、強い電子加熱等により電子温度勾配が急峻になると、「帯状流」と呼ばれる半径方向に依存して交互に存在ポロイダル方向の層流が形成され、熱輸送が低減する。このような帯状流がもたらすポロイダル方向のドップラー効果は、帯状流と共に存在する「乱流揺動」の特性を変化させるため、短波長・短時間スケールの渦を伴うETG/ITGモードの顕著な領域と、帯状流とETG/ITGモードの相互作用で生成された、大きな渦を伴う長波長のケルビン・ヘルムホルツ型(KH)モードの顕著な領域が、半径に依存して交互に存在することが明らかとなった。特に、電場と圧力揺動とのクロススペクトル解析から、帯状流による乱流輸送の低減が、ポロイダル電場と圧力揺動とのコヒーレンスの減少及び位相の同調という二つの異なる素過程に起因することを明らかにすると共に、バイスペクトル解析から、帯状流に支配され乱流におけるモード間のエネルギー輸送に関して、大規模渦構造を伴うKHモードが主要な役割を担っていることを明らかにした。
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