研究概要 |
平成18年度は,三カ年計画の最終年度である。よって,前年度までの研究成果の取り纏め及び公開に重点を置いた。 平成17年度に開発したエネルギー依存型荷電粒子発光モデルを,モンテカルロシミュレーションコードSCINFUL-QMDに組み込んだ。この改良版SCINFUL-QMDコードによって計算したシンチレーション検出器の応答関数を,平成16年度に取得した800MeVまでの中性子に対する実験データと比較した。この結果,以前確認されていたSCINFUL-QMDコードの高発光量領域における過大評価が改善され,シンチレーション検出器中での高エネルギー放射線の輸送及び発光現象を適切に模擬できていることが分かった。 本課題では,シンチレーション検出器の応答を実験的に解析し,実験値を基に理論モデルを構築,さらにその理論モデルを用いたシミュレーション解析を実行するための計算コードを開発した。これらのことにより,本課題の所期の目標は達成されたと言える。 またSCINFUL-QMDコードの応用として,シンチレーション検出器を主構成要素とする次世代型放射線モニタDARWINの高エネルギー中性子に対する応答特性をシミュレーション解析した。この解析結果を基に,検出器形状の最適化が成された。 これらの成果は,欧州にて行われた第10回中性子線量計測シンポジウムにて発表すると伴に,英文誌に投稿した。さらに,SCINFUL-QMDコードは,そのマニュアルを整備し,日本原子力研究開発機構の公開する原子力コードとして,広く一般利用に供した。
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