研究課題/領域番号 |
16770066
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物多様性・分類
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
倉林 敦 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (00327701)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 無尾両生類 / 高次分類群 / カエル亜目 / ミトコンドリアゲノム / ゲノム構造 / 遺伝子配置 / 分布域形成 / 大陸移動 / 無尾類 / 分子進化 / クサガエル科 / サエズリガエル科 / 縮重プライマー / 分子系統解析 / アオガエル科 / マダガスカルガエル科 |
研究概要 |
無尾両生類におけるmtゲノムの分子進化のプロセスを推定すると共に、ゲノム構造を指標として高次分類群の系統関係を明らかにすることを目的に研究を実施した。 本年度は、無尾類mtDNAのユニバーサルプライマーを用いて、クチボソガエル科とフクラガエル科のmtDNAの全領域の増幅を行い、昨年増幅済みの7科のカエル(クサガエル・サエズリガエル・スキアシヒメガエル・アベコベガエル・ヤドクガエル・ユビナガガエル)と共にmtDNAの塩基配列決定を行った。この内、クサガエル科とサエズリガエル科の種について全塩基配列を決定した。クサガエル科のイロカエクサガエルとサエズリガエル科のケガエルのmtDNAのゲノムサイズは、22.6kbpと21.4kpで、通常の脊椎動物の16kbpと比べ非常に大きいものであった。両者のゲノムを大きくしている要因は、付加的なコピー領域が存在するためであり、前者は、ND2蛋白遺伝子とコントロール領域と1つのtRNA遺伝子が、後者では、ND5蛋白遺伝子-コントロール領域と6つのtRNA遺伝子がコピーされていた。さらに、クサガエル科とサエズリガエル科のmtDNAでは、tRNAAla遺伝子とtRNAAsn-L鎖複製起点の位置が入れ替わっているという特徴が見られた。この特徴は、クチボソガエル科とも共通していたため、tRNA遺伝子とL鎖複製起点の位置の置換わりは、少なくともこれら3科の共通祖先で生じたと考えられた。ミトコンドリア遺伝子の塩基アミノ酸配列に基づく解析も本仮説を支持した。この研究成果については、日本動物学会第77回大会にて発表し、論文を準備中である。 さらに、研究期間の知見から以下の点が明らかになった。(1)カエル類の中でも進化的なグループのカエル亜目では、幾つかの科で独立にミトコンドリアゲノム構造が大きく変化した。(2)カエル亜目の各科の分岐年代は、超大陸パンゲアの分断に先立つ場合が多く、世界的分布を示す科の分布域形成の一部は、大陸移動イベントが関与した。
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