研究課題
若手研究(B)
当研究では、バキュロウイルス組み換え蛋白質発現系を用い、ヒトRNAポリメラーゼII(RNAPIIを再構成することにより、RNAPII機能を解析することを目的とした。当初、5種類のウイルスにより全12サブユニットを発現させる方法により再構成を目指したが、活性のある組み換えRNAPII効率よく再構成されてないことが明らかとなった。全サブユニットが効率よく単一細胞内で発現していない可能性を考え、ウイルス種数を減らすことにした。そこで昨年度から、これまでに報告のない、8種の組み換え蛋白質を同時に発現するウイルスを含む、3種類のウイルスで全サブユニットを発現させることにより、再構成を目指した。結果、様々な精製方法を試みたが、サブユニットの発現自体は観察されるものの、これまでに有意な活性を有する組み換えRNAPII精製できなかった。タグの種類やタグを付けるサブユニットの種類、位置などの再検討が必要かもしれないとの結論に至った。最終年度では、本研究の組み換えタンパク質発現・精製技術を生かし、RNAPIIの新規機能を明らかにするための関連研究も同時に進行した、当研究室では、in vitroにおいて、c-fos遺伝子転写を活性化する新規コアクチベーターとしてRNA結合タンパク質であるNF複合体を同定したが、昨年度、このNF複合体が、RNAPIIサブユニット(RPB)のうち、組み換えRPB1カルボキシル末端(CTD)に弱く結合することを見出した。そこで今年度では、RNAPII転写へのNF複合体の関与についてさらなる解析を行った。本年度では、in vivoにおいても転写活性化すること、RNA結合能が転写活性化能に部分的に必要であること、また逆に過剰のRNA分子はNF複合体の転写活性化能を阻害することがわかった。また、本研究で作成したRPB抗体などを用いてクロマチンやプラスミド免疫沈降法などを行うと、c-fosプロモーターが活性化する際に、NF複合体の会合が量的に変化することなどが明らかになった。これらから、NF複合体はプロモーター上に会合することにより転写活性化し、その活性化能は転写産物RNAによりフィードバック制御されうる可能性が示唆された。現在CTDは転写後調節の足場として機能していることが知られている。本研究により、RPB1のCTDは、NF複合体を通して、転写産物による転写制御という新規遺伝子発現制御機構の足場としても働きうる可能性を見いだせた。
すべて 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
Biochem Biophys Res Commun. 352(1)
ページ: 21-28
Journal of Biological Chemistry 280・12
ページ: 11467-11474
Journal of Biological Chemistry 280
Molecular and Cellular Biology 24
ページ: 6525-6535
Recent Research of Developmental Cell Science 1
ページ: 129-139
Journal of Biological Chemistry 279
ページ: 7447-7455