研究概要 |
前年度の研究では,膜二回貫通型RINGフィンガータンパク質MARCH-II (membrane-associated RING-CH finger protein)を同定し,これが膜輸送・膜融合の調節因子であるSNAREタンパク質syntaxin6と直接結合することを明らかにした。平成17年度の研究では,さらにMARCH-IIに相同性の高い分子としてMARCH-IIIを同定し,その機能解析から以下に述べるようにMARCH-IIIがMARCH-IIに非常に良く似た性質をもつことを明らかにした。(1)ラットMARCH-IIIがユビキタスな組織発現分布を示すことを明らかにした。(2)培養細胞COS7細胞にMARCH-IIIを発現させたところエンドゾームに一部局在することを認めた。(3)免疫沈降法によりMARCH-IIIがsyntaxin6と複合体を形成することを明らかにした。(4)MARCH-IIIの過剰発現により,トランスフェリンの取り込み阻害が生じ,細胞表面とトランスゴルジ網(TGN)を循環することが知られているTGN46がMARCH-IIIの存在する膜構造に集まることを認めた。(5)このような阻害効果は,MARCH-IIIのRING fingerドメインやPDZ結合モチーフを欠失した変異体を発現させた際には観察されなかった。(6),MARCH-IIおよびMARCH-IIIのRING fingerドメインはE3ユビキチンリガーゼ活性を有することを明らかにした。以上の結果からMARCH-IIIがエンドゾームにおける膜輸送に関与することを示唆することができた。
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