研究課題/領域番号 |
16770187
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類学
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
河野 礼子 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究員 (30356266)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 人類進化 / チンパンジー / 大臼歯 / エナメル質厚さ / エナメル象牙境 / Pan属 / 歯冠 / エナメル質 / エナメル象牙 / エナメル厚さ |
研究概要 |
本年度はPan属の二種、コモンチンパンジーとピグミーチンパンジーの大臼歯歯冠形状についての比較分析をさらに進めた。エナメル象牙境界形状の分析により、ピグミーチンパンジーでは、咬頭の切り立ちが強く咬合面が相対的に深いことなど、葉食傾向との関連と考えられる特徴が認められたほか、咬頭の配置や歯冠全体のシェイプが両種で異なることが示された。そこでさらに、歯冠内部形状と外部形状の対応関係を探り、また大サンプルでこれら特徴について確認するために、ベルギー・テルビューレンの王立中央アフリカ博物館を訪問し、コモンチンパンジーとピグミーチンパンジー標本の上下顎大臼歯について、肉眼観察およびノギス計測を実施した。のべ500点以上の大臼歯について計測を実施した結果として、内部形状で両種の違いを表す各種特徴について外部形状においても追認できたが、一部の特徴については外部形状での評価は難しいことも判明した。またこれらの各種形態特徴について、歯種ごとの変化の程度や方向性が両種において異なるなど複雑な様相が明らかとなった。エナメル質厚さや分布の特徴も含めて、両種の間の形態差は程度はわずかであっても、全体の大きさの違いまたは機能的差異のいずれかに単純に帰することは不可能であり、進化過程におけるサイズや機能的必要性の変化、さらには発生過程における様々な制限要因等が関連しあってもたらされたものであることが示唆された。こうした知見は、より化石情報が豊富な人類の進化においても、種ごとの差異がもたらされた要因については、分岐後の時間や発生上の制約等も含めた様々な視点から検討が必要であることを示し、重要である。平成18年11月の日本人類学会シンポジウムにおいて、こうした視点についてこれまでに得られた知見とあわせて報告した。
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