研究概要 |
研究代表者の属する岡山大学ではオオムギゲノム解析の研究リソースの構築に取り組んでいる.これまでに約14万のオオムギESTから約1万のunigenesを得,これらを位置付けた転写産物地図の作製を進めた.既に約3,000のESTをオオムギ染色体に位置付けている(南角ら,2005).本研究では染色体上に位置付けたオオムギESTとマイクロアレイとを組み合わせ,迅速且つ大量の遺伝子座の多型を検出する方法の確立を目的とする.今年度は,(1)AFLP法を応用したプローブとなるDNA断片の長さの均一化とcRNA法を利用したラベリング効率の改善,(2)連鎖地図上に位置付けられたオオムギESTを配置したcDNAマイクロアレイの作成とそれを使ったハイブリダイゼーション実験,に取り組んだ. (1)ハイブリダイゼーションのプローブは,AFLP法の原理で断片化したゲノムDNAの両末端にSP6/T7プロモーター配列をリンカーとして連結し,PCRで増幅することによりDNA断片長の均一化し,且つ末端に導入したプロモーター配列を利用したcRNA法によるラベリングの効率化を目指した.種々のリンカー配列やPCR条件を比較検討した結果,以降の実験に使用できる程度迄DNAを増幅する条件を設定した. (2)連鎖地図上に位置付けた384のオオムギESTクローンのインサートを,シークエンス解析で目的クローンであることを確認後PCRで増幅し濃縮精製した後,ピンヘッド式のスポッターSP-BIO II(Hitachi)を用いて,384クローンを8反復で配置したcDNAマクロアレイ(3,072スポット/スライド)を作製した. 現在これらを用いて,タグライン系統や同質遺伝子系統対を材料に目的とする遺伝子座のマッピングや,オオムギ系統のハプロタイピングへの応用の可能性などについて検討を進めている.
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