研究概要 |
支笏洞爺国立公園の支笏定山渓地域を対象にし、現在の自然公園の公園計画の公園界と地種区分界のそれぞれがどのような由来となっているかを地理情報システムにより計測し、その経緯を整理し,分析を行った。昨年度に引き続き,さらに対象箇所を知床国立公園,大雪山国立公園にも拡大し,地図データを入手し,公園計画と国有林の施業計画を重ねあわせ、自然公園の地種区分と、国有林の保安林指定やレクリエーションの森指定の関連を分析した。その結果,相互は依存関係にあり,自然公園の公園計画に生態系やレクリエーション利用に対する明確な配慮がみられないことが明らかとなった。 さらに、国有林の林班を基準に、自然環境資源に関する情報やレクリエーション資源に関する情報を、地理情報システム上で重ね合わせ、統計解析を行い、自然資源保護と利用体験提供の両側面からの林班の価値付けを行った。土壌や植生,地形的特長から,保護の重要性の高い地区から低い地区まで段階的なクラス分けを行い,アクセスや開発の適正,景観的な見通しのよさなどからレクリエーション的にも段階的にクラス分けを行った。それらのクラスを重ねあわせ,保護と利用の相互の関連を分析した。各林班の得点と現状の公園計画の整合性の検討を行った結果,自然公園内の地種区分において必ずしも保護の必要性の高い場所がそのように区分されているわけではないことなどが明らかとなり,景観プランニング手法に基づく今回の手法が今後の公園計画策定の一つとして提案できる。
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