研究概要 |
1.防風林の植生タイプ区分と評価 岩手県盛岡市・滝沢村を中心とした岩手山東麓のアカマツ・カラマツ防風林および植栽地において2003-2005年度に植生調査を行い,118の調査資料を得た。この資料を表操作した結果,ツノハシバミ・サワフタギ・ミヤマガマズミなどの低木類(種群1と呼ぶ)を持つ群落タイプA,シュンラン,フタリシズカ,シロバナエンレイソウなどの草本類やオオバクロモジ,アズキナシ,ウリハダカエデなどの低木類(種群2,群落タイプAもこの種群を持つ)を持つ群落タイプB,これらの種群を持たない群落タイプCに区分された。タイプAはさらにサイハイラン,ヒトリシズカ,ヒトツバカエデなどを持つタイプA1とこれらを持たないタイプA2に分けられた。またタイプBおよびタイプCはケチヂミザサ,カラハナソウなどの林縁など明るい環境に見られる種群(種群3)が確認されたタイプB2およびタイプC2,この種群を持たないタイプB1,C1に区分された。群落タイプA1,A2,B,Cの順に森林性の種群が多いことから,より森林性が強いと評価することができる。一方,明るい環境にみられる種群3を持つ群落タイプB2,C2は林縁的な環境であることが理解できた。 2.植生-環境モデルの作成 得られた群落タイプの成立環境要因を知るために,それぞれの種群ごとに環境条件との関係を分析した。分析に当たっては分類樹木(CART)を利用した。また環境条件の幾つかはGISによって数値を求めた。その結果,林分の巾,歴史性(古い林として存続しているか否か),地質,大面積林までの距離,古くから存続している大面積林までの距離が種群の出現環境要因となっていることが考えられた。森林の歴史性や古くから存続している大面積林までの距離といった過去の土地利用が植生タイプに関係していることが明らかになった。
|