研究課題/領域番号 |
16780048
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
樋口 恭子 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (60339091)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | イネ科 / 鉄 / 移行 / 転流 / 利用効率 / クロロシス / ^<59>Fe / 水溶性鉄 / 再移行 / 59Fe |
研究概要 |
前年度までに我々は、(1)オオムギは植物体内で再移行しにくいといわれている鉄を下位葉から上位葉へ再移行させているのではないか、(2)オオムギは細胞内や組織内の鉄をより低濃度で効率よく利用できるのではないか、という仮説を導き出した。そこで今年度は(1)を検証するため放射性同位体である59Feを用いて下位葉から上位葉への鉄の再移行を定量的に解析した。その結果、下位葉から上位葉に移行する鉄の割合はイネよりオオムギの方が大きく、それは鉄が十分でも鉄欠乏でも同様であることが分かった(Soil Science and Plant Nutrition誌51巻(2005)p.1035-1042)。次に(2)について、オオムギとイネでは生理的に有効な化学形態の鉄の含有率に違いがあるかどうか検討した。全鉄、水抽出鉄、分子量1万以下の鉄、それぞれの含量と葉色(SPAD値)の相関関係を調べたところ、オオムギ、イネとも水抽出鉄とSPAD値の間に正の相関が見られ、相関係数はオオムギのほうが高かった。全鉄や分子量1万以下の鉄とSPAD値の間の相関が低かったことから、緑色の維持には高分子と結合した鉄、例えばFe-Sクラスターやヘム鉄を含むタンパク質が細胞内の鉄利用効率に重要であると考えられる。またオオムギの品種間で鉄利用効率に違いがあるかどうか比較するために、鉄欠乏に強い品種エヒメハダカ1号と弱い品種を組み合わせて混植栽培を行ったところ、混植による鉄欠乏症状の改善があまり見られない品種があった。このことからオオムギ品種間でも鉄利用効率に違いがあることが分かった。今後オオムギ品種間での解析も進めることにより鉄利用効率を支配している要因の解明が期待できる。
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