研究課題/領域番号 |
16780095
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
永尾 晃治 佐賀大学, 農学部, 助手 (10336109)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 脂肪組織 / 疾患遺伝子 / 食事成分 / 食環境 |
研究概要 |
病態発症の危険因子及び抑制因子の両方向から、マルチプルリスクファクター疾患遺伝子の検索をおこなった。その結果、脂肪組織から分泌されるホルモン様物質:アディポサイトカインの一種である"アディポネクチン'および"レプチン"が、肥満誘発性の脂肪肝やインスリン抵抗性の発症と改善に深く関わっていることがモデル動物を用いたin vivo実験で明らかとなった。そこで、脂肪細胞のアポトーシスを誘導し、レプチンやアディポネクチンの産生に影響を与える共役リノール酸について、マウスを用いた病態生理学的検討を行った。その結果、共役リノール酸摂取に対するマウスの初期応答が、血清や肝臓の脂質低下であったとしても、劇的な脂肪組織の減少によりアディポサイトカインの欠乏が生じると、インスリン抵抗性や脂肪肝を伴う脂肪萎縮症病態を発症させることが示された。このことは、肝臓での病態形成に対して、脂肪組織由来生理活性物質が与える影響の大きさを示している。そこでこの食事誘発性脂肪萎縮症モデルマウスに対するレプチン補強により病態発症の予防・改善を試みた。その結果、腹腔内投与によるレプチン補強は、インスリン感受性の改善をもたらし、肝臓における脂質の蓄積、肝機能マーカーの上昇について改善できることが示された。またヒトの脂肪萎縮症における治療に、レプチン投与を用いることが報告されているが、食事性分による治療・改善作用の報告はない。そもそも脂肪萎縮症における致死的要因は、肝臓における脂質の蓄積から、脂肪肝炎、肝硬変、肝ガンへの進展が大半を占める。そこで、脂肪萎縮症病態改善作用を持つ食事性分の候補として、肝臓脂質低下作用を持つ高度多価不飽和脂肪酸に着目した。高度多価不飽和脂肪酸の一つであるドコサヘキサエン酸(DHA)を、脂肪萎縮症を誘発するための食事に添加したところ、レプチンやアディポネクチンといった、アディポサイトカインの産生調節を介さずに、肝臓における脂質合成抑制と脂質分解充進により脂肪肝を改善出来ることが示された。 よって本研究によりレプチンやアディポネクチンは、マルチプルリスクファクター疾患遺伝子として脂肪萎縮症の発症にも関わっており、食事誘発性脂肪萎縮症の改善に食環境を用いる有効性が示された。
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