研究概要 |
本研究では16〜18年度にかけて,岩手大学滝沢演習林の31種の広葉樹人工林37林分を対象に,18年問の林分構造と林分材積成長皿の変化特性を明らかにすることを目的とする。18年度の研究実積は以下の通りである。 1.11〜12月,植栽木による立木度の高い19林分において植栽木の胸高直径を再測し,2年問の胸高直径成長量を推定した。 2.3月,上記の19林分のうち,主要な冷温帯樹種8樹種9林分において植栽木から標準木10本ずつを選定し,生枝下高と樹高を測定した。 3.広葉樹人工林の造成事例に関する資料収集のため,11月東京千代田区,1月東京千代田区に出張した。 4.4月の森林学会でポスター発表し,森林計画学会誌と岩手大学農学部演習林報告に論文を1報ずつ掲載した。 5.調査の結果は以下の通りである。19林分において2004年時点の胸高直径と2年間の胸高直径成長量との対応関係を調べた結果,全ての林分でサイズ依存成長が認められ,相対的に細い林木ほど成長量が低かった。現時点で植栽木の本数密度が低く林分材積純成長量が低い林分には,多くの侵入木により種間競争が激化している林分と,樹高の高い隣接林分により被圧されている林分が認められた。北米産4種の林分成長特性を解析した結果,いずれの樹種とも岩手県の標準的な広葉樹天然生林の地位1等もしくはそれ以上の樹高成長を示した。特にユリノキの林分材秋は地域のスギ人工林の地位1等に匹敵した。国内冷温帯の高木性広葉樹8種の林分成長特性を解析した結果,いずれの樹種とも岩手県の標準的な広葉樹天然生林の地位1等もしくはそれ以上の樹高成長を示した。これらの林分は1000本〜3083本/haと中・低密度で植栽された林分にも関わらず,羽状形の樹冠を有するウダイカンバ,シラカンバ,カツラの生枝下高は10m前後と顕著に高く,早期の間伐が必要と考えられた。
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