研究概要 |
木材を乾燥させる際に生じる割れの発生挙動をアーティファクトの影響なく、細胞レベルで経時的に可視化する方法を開発するために、木材の含水率に左右されずに観察可能な共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)の利点に着目し、木材ブロック試料を設置する雰囲気の環境制御法を確立することで、乾燥に伴う木材細胞の3次元的な形状変化をリアルタイムで可視化する方法を検討した。 17年度の研究成果は以下の通りである。 乾燥中の4次元的な割れ発生挙動の可視化 CLSM下において,木材ブロックに割れを発生させるための環境制御法を検討し,割れの発生に成功した。これにより,アーティファクトの影響なく,割れ発生挙動を細胞レベルで,かつ経時的に可視化することが可能になった。この手法を使って得られた成果は次の通りである。まず、放射組織に沿って割れが進行する場合,割れは晩材部で発生することが明らかになった。次に,発生した割れは髄側,樹皮側の両方向へ進行するが,早材部で止まることを明らかにした。割れの進行とともに割れ幅は増大するが,乾燥終了前に減少し,発生した割れのうち,肉眼では観察できないレベルの割れが存在することが明らかになった。以上の割れ発生挙動については経時的な動画としてビジュアル化した。また,割れの深さ方向を解析したところ,晩材部で最も深く,年輪界を超える場合は急激に浅くなり,髄側への進行の場合は徐々に浅くなる傾向を明らかにした。
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