研究概要 |
昨年度までに,二枚貝キャッチ収縮はtwitchinのリン酸化部位D1およびD2のうち主にD2によって制御されていることが明らかとなった。本年度は,D2の機能解析を中心に行った。D2がアクチンとパラミオシンにリン酸化依存的に結合することから,どちらの成分に作用することがキャッチ収縮の制御に重要であるかを調べるために,パラミオシンを含まないニワトリ骨格筋アクトミオシンMg^<2+>-ATPase活性をD2存在下で測定したところ,D2によって活性が約45%阻害された。同様の実験をニワトリ骨格筋から精製したミオシンとアクチンを用いて行った場合でも,D2によって活性が約45%阻害され,これらの値がキャッチ筋アクトミオシンの場合と同じであったことから,D2は主にアクチンに作用して筋収縮を制御している可能性が示唆された。次に,アクチンのD2結合部位の同定を試みた。その結果,アクチンのサブドメイン1に存在するミオシン結合部位と結合することがわかった。この領域はミオシンループ2領域と相互作用し,アクトミオシンのすべり運動に必須な領域であることから,D2によるアクトミオシンMg^<2+>-ATPaseの阻害は,この領域に結合することによっておきていることが分かった。D2と相互作用するタンパク質についてさらに解析を進めたところ,新たにミオシンとリン酸化依存的に結合することが示された。したがって,twitchin D2リン酸化部位は,アクチンとミオシンに同時に結合することによって両者のクロスブリッジ形成に影響を与えている可能性が示唆された。
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