研究概要 |
平成18年度は本研究の最終年度にあたる.本年度は,これまでの研究成果を整理と調査を実施し本研究の成果をとりまとめた.本研究の分析は下記の2点を検討が基礎となっている. ・農業公共投資の地域経済(農業・非農業)波及効果分析方法の検討 ・個別農家データを利用した農業公共投資の地域間生産性格差分析方法の検討 本年度は市内事業所への経営状況を尋ねるアンケート調査を実施し,業種ごとの移出率等を算出するなどして,市レベルの産業連関表を作成した.これにより,地域の経済・産業構造をより適切に反映させた経済波及効果分析が可能となった.また,地域間生産性格差についてもパネルデータを利用した分析に取り組んだ. 以上の検討を踏まえ,本研究では次の2点を分析した.1)農業公共事業を対象に,事業実施による投資効果を地域経済のおける産業相互の直接的・間接的な波及効果を考慮して実証的に分析し定量的に評価した.2)農業公共投資による地域農業への効果を個別農家レベルのデータを用いて分析し同一市内の地域間で生じている生産性格差から派生する農家経営への影響について実証的かつ定量的に分析した. これまでは,データや分析手法の制約のため取り組むことが難しかったが,本研究では地域の経済・産業構造をより適切に反映させた分析を実施することができた.本研究の成果は,農業公共事業を定量的に評価する一つの手段を提供できると考えられ,地域への適切かつ効果的な公共事業計画の実施に対する示唆を与えると考えられる.
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