研究概要 |
本研究では,均質地盤における飽和・定常流下で色素トレーサを持ちいた二次元物質移動実験を実施することで物質移動現象を画像で捉え,プルーム輪郭抽出に基づく画像解析に加えて濃度コンタ抽出による空間モーメント解析により分散長の推定精度の向上を図った.その結果,プルーム輪郭抽出による画像解析における分散長推定では,規定の濃度をプルーム抽出の下限値,すなわちプルーム輪郭と定義してその形状を追跡することは妥当でなく,画像の二値化により判断される輪郭を抽出する方が適切であることが示された.また,空間モーメント解析による推定値は輪郭抽出による画像解析の値と比較して1オーダー程度大きく,既往の研究例との比較から空間モーメントによる推定値の妥当性が示された.さらに,空間モーメント解析は輪郭抽出による画像解析に比して納所の情報量が多い点を踏まえて,空間濃度分布の抽出と空間モーメント解析の連携は分散長の推定精度向上に有用な方法であると結論づけられた.また,濃度データにノイズを含む実サイトの状況を考慮し,ノイズデータを用いた逆推定を実施することで,逆解析手法の実行可能性をしめした. さらに,LNAPLプールから地下水へ溶解した汚染プルームの探査を目的とした観測井配置について検討した.ラテンはいバーキューブ法により物質移動特性と汚染源性状の不確実性を考慮し,移流分散解析により汚染プルームに関するリアライゼーションを得ることで,設置本数に制約を設けた上で探査確率が最大となる観測井配置を遺伝的アルゴリズムにより構成した.また,評価関数に時間0次モーメントを導入することで横分散による汚染探査の重みを低減し,井戸密度を制約条件に組み込んだ結果,観測井配置へ及ぼす第2種および第3種境界条件の差異は小さく,物質移動特性よりも汚染源性状に関する確率分布の影響度が高いことが示され,探査限界値の重要性が示唆された.
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