| 研究概要 |
穀物,製粉薬品・食品,砂,セメント等の粉粒材料の貯蔵に用いられるサイロ・ホッパーの力学設計の高度化には,粒子の流動特性のみならず流動時に生ずる構造物各部の力学量の詳細な把握が必要となる.従前より流動実験や古典弾塑性モデルに基づく有限要素法を用いた流動現象解析が行われている.しかしながら,計測システムや構成モデルの適用限界等の要因により,異常流動現象の予測には至っていない.
本研究では,PIV(粒子画像流速測定法)による流動現象の高精度計測,ならびに,降伏面内部を純粋弾性域と仮定しない非古典塑性論に属する下負荷面モデル(Hashiguchi and Ueno,1977;Hashiguchi,1980),さらには上負荷面モデル(浅岡他,2000,岡安他,2004)を導入した更新Lagrange法に基づく弾塑性有限要素解析プログラムによる流動現象の解析を行い,両結果の比較・照査から本プログラムの予測精度を検討した.その結果,粉粒材料の貯留層厚や密度,ホッパー角度,さらには壁面摩擦の違いにより引き起こされる流動現象の差異が上記プログラムにより表現可能であることを示した.
他方,本研究で開発した有限要素解析プログラム(2次元)は,プレ・ポスト処理プログラムと合わせて開発を終了し,初期バージョンについては一般公開するに至っている.本プログラムは,地盤構造物施工時の地盤変形メカニズムや金属材料の引出成形加工メカニズムの解明のためにも活用されており,他分野においてもいくつかの知見を得ている.
以上,本研究で得られた知見は,サイロ・ホッパーのみならず盛土,トンネル等の土木・地盤構造物さらには機械構造物要素の力学設計の高度化にも適用し得る可能性を示唆するものである.
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