研究概要 |
本研究は、栄養処理による食肉呈味向上モデル家畜の作出及びその代謝メカニズムの解明により、食餌による食肉呈味成分制御の可能性を検討するものである。食肉の呈味性アミノ酸量の増加モデルとして、1)飼料中分枝アミノ酸(BCAA)、2)タンパク質(CP)レベルを調節した飼料を給与し、筋肉中遊離グルタミン酸(Glu)量を検討した。要求量(対照)に対し、ロイシン(Leu)70%ではGlu量が35%の増加を示し、Leu130%は最も低い値を示した結果を受け、検討を行い、低Leu飼料原料が限定され応用が難しいことから、生体におけるBCAA拮抗作用に着目した。その結果、Leu 100ないし150%の状況でも、他のBCAAレベルを150%に増加させることで、低ロイシンと同様の効果が得られることを明らかとした。官能評価試験において、高Ile-Valは、対照に対し有意に食肉の風味が優れることが明らかとなり、これらを呈味向上モデルとした。 筋肉におけるGlu代謝メカニズムを、合成・分解に関わるGlutaminase(GA),Glutamine synthetase(GS),ALT,AST,GDH活性及びmRNA遺伝子発現から検討した結果、高CPにおけるGA活性の関与に対し、BCAAではGDH活性が影響され、Glu量に関与する可能性が示唆された。 これらの成果について、51^<th> International Congress of Meat Science and Technology (Baltimore)にて3報、及び日本畜産学会大会にて2報の研究発表を行った。また特許出願を行い、本件はJSTのPCT支援特許に採択され、PCT出願を行った。またBritish Poultry Science誌への投稿を準備中である。
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