配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
本研究では、哺乳類において、減数分裂特有の染色体の結合・分離を制御する分子機構を解明するために、マウスRec8およびそれを制御すると考えられる他の分子(Separase,Securin,Cdc20,Cdh1,Shugoshin等)に着目して研究を行っている。Rec8は第一および第二減数分裂中期から後期への移行時に染色体腕部から消失し、そのことが相同染色体の分離に必要であることを証明した。さらに、Securinの過剰発現実験により、腕部Rec8の消失が抑制的制御を受けることも証明し、本年度に論文として投稿し、受理された。 第一減数分裂において、染色体腕部からRec8を含むコヒーシンが消失することによって、相同染色体は分離するが、セントロメア部分のコヒーシンが保護されることにより、姉妹染色分体の分離は起こらない。この第一減数分裂における保護のためには、Shugoshinが必要であることが酵母において分かっているが、脊椎動物においてはShugoshinの減数分裂過程における発現や機能は調べられていない。本研究では、酵母Shugoshinを発見した東大分生件の渡邊研究室や大阪市大森田研究室との共同研究により、マウス卵母細胞において、Shugoshinの機能解析を行った。その結果、哺乳類では、sgo1とsgo2のshugoshin分子が存在するが、sgo2が減数分裂過程で特に強く発現しており、第一減数分裂におけるセントロメアの結合(Rec8を含むコヒーシン)の保護には、Sgo2が必要であることを明らかにした。また、Sgo2はプロテインホスファターゼ2A(PP2A)をセントロメアに局在化させることにも必要であり、PP2Aと協調してセントロメア結合の保護を行うことが示唆された。これらの結果を論文としてまとめて、現在、投稿中である 以上のようなマウス卵母細胞を用いた減数分裂過程での染色体分離を制御する分子機構の解明は、生殖医療分野や家畜の繁殖分野において、減数分裂過程に起こる染色体分離異常に起因する流産等の出生異常やダウン症等の先天性疾患の診断・治療へと繋がることが期待され、重要な意義を持つと考えられる。
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