研究課題/領域番号 |
16780197
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
谷 哲弥 近畿大学, 農学部, 助手 (70319763)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ウシ未受精卵子 / 体細胞核移植 / 核の初期化 / 未受精卵子 / 核移植 / 初期化 |
研究概要 |
核移植技術を用いた体細胞クローン動物の作出は、未受精卵子の中に含まれると考えられる体細胞核を初期化することができる因子の存在を明らかにした。また、細胞周期制御の観点から核移植卵の正常性を検討した結果、MII期卵が紡錘体阻害剤により活性化されるスピンドルチェックポイントを核移植卵で調べると、未受精卵子の場合と異なり活性化しないことが明らかとなった。 体細胞核の初期化を誘導する可能性のある因子をウシ未受精卵子のプロテオームにより同定した。そのタンパクは、リン酸化されたTCTP(transcriptionally controlled tumor protein)であり、体細胞核移植卵の胚盤胞期への発生率と相関があることから、体細胞核の初期化機構との相関を詳細に調べた。ウシ未成熟卵子に合成RNAおよびdsRNAインジェクションして強制発現させた卵は、MI期で細胞周期を停止させたが、dsRNAにより発現を阻害した卵子は通常にMII期まで達した。dsRNAによりTCTPの発現を阻害した卵を用いて体外受精・体細胞核移植により発生能を調べると体細胞核移植卵のみ発生能は低下した。さらに、予めドナー細胞である体細胞にリン酸化部位を含むTCTPのペプチドをHIV envelop法を用いて取り込ませた後、核移植卵を作成し体外及び体内発生率を検討した。その結果、体外発生能において差が見られなかったが体内発生能において発生率が向上した。すなわち17頭の受胚雌に移植した結果、8頭(47%)が受胎したが、うち1頭(13%)が妊娠51日目に流産した。その他の妊娠雌は、いずれも自然分娩で正常な子ウシを分娩した。ペプチドを導入しない同じ体細胞を用いた場合の核移植卵の体内発生能は、受胎率は31%(4/13)、流産率は50%(2/4)、分娩後1ヶ月目の子ウシの生存率は0%(0/2)であった。このことからリン酸化TCTPペプチドを導入した体細胞を用いることによって正常な体細胞クローンウシの作出率が向上した。
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