研究課題
若手研究(B)
本研究課題では、臨床症状が類似する感染症を引き起こす病原体の鑑別を、従来法よりも、より簡便で短時間に行う方法の開発を目的として行った。本研究の対象として、蚊媒介性のフラビウイルス感染症をモデルとした。フラビウイルスには、日本脳炎ウイルス(JEV)やウエストナイルウイルス(WNV)等が含まれる。これらの多くは人獣共通感染症に属する。日本には、JEV感染症は既に自然界に存在し、蚊の発生する夏から秋にかけてその感染が確認される。しかし、WNV感染症は、2005年10月に一人のカリフォルニアからの帰国者がウイルスに感染していたことが報告されているが、その他の報告は無い。今後も輸入感染症として日本への侵入が危惧されるウイルスの一つである。フラビウイルス感染症の多くは脳炎を主徴とするものが多く、他の臨床症状も類似している。また、JEVとWNVは同一血清型群に属するため、それらの血清診断は困難であるとされている。そこで、フラビウイルスの鑑別法として、WNVのNS5遺伝子のHemi-probeとPadlock-probeを用いたLigaion-mediated PCR法について検討した。両プローブは特異的にウイルス遺伝子を増幅した。また、両プローブを用いた時のウイルス核酸の検出限界は、それぞれ100pg、2.9ngであった。また、各ウイルスに対する特異抗体を検出することで、両ウイルスを鑑別する方法について検討した。前述した様にJEVとWNVは同一血清型群に属するため、それらに対する抗体は交叉反応を示すが、明らかに区別出来ることが判明した(データは示さず)。本研究は、その他の臨床症状が類似する感染症の原因病原体を鑑別する方法の開発に応用出来るものと考えられる。
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