研究課題
若手研究(B)
CAPRI(Ca^<2+>-promoted Ras inactivator)はRasGAPとして機能することが知られている。本研究では、マスト細胞株(RBL-2H3細胞)の活性化に及ぼすCAPRIの影響を追究した。蛍光蛋白質CFPとCAPRIのキメラ蛋白質(CFP-CAPRI)は細胞質に存在していたが、抗原刺激に伴う細胞内カルシウムイオン濃度の上昇の直後に細胞膜へ移行し、その後速やかに細胞質へと戻った。CAPRIのGAP-relatedドメインに変異を加えたCFP-CAPRI(R473S)を導入した細胞では、抗原刺激に伴う顕著な移行は確認されなかった。また、CFP-CAPRI発現細胞では脱顆粒がほぼ完全に抑制されるのに対して、CFP-CAPRI(R473S)発現細胞ではほとんど抑制されなかった。さらに、MAPキナーゼ(ERK)の活性化に及ぼすCAPRIの影響を追究した。通常、ERKは抗原刺激の約2分後から核移行を始め、5分後に最大となった後、徐々に核から排出され20分後にはほぼ元の状態に戻るが、CFP-CAPRI発現細胞では、抗原刺激後CFP-CAPRIが形質膜へと移行し、ERKは刺激5分後までは細胞質に存在したままであった。ERKは、その後徐々に核移行し始めたが、15分後に再び細胞質へ戻った。CFP-CAPRI(R473S)発現細胞では、ERKの動態は野生株と同様であった。CFP-CAPRI発現細胞では、抗原刺激5分後のRaf-1、MEK、ERKのリン酸化量が減少していることも見いだした。このようなCAPRIによるERKの初期の活性化の抑制に伴って、TNF-αの産生量が著しく減少することも明らかになった。このことから、CAPRIは抗原刺激に伴って細胞質から形質膜へと一過性に移行して、マスト細胞の脱顆粒およびサイトカインの産生を抑制すると考えられた。
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