研究概要 |
1.c-Myc, p21, TOK-1の相互作用 c-Mycが細胞周期調節因子群と相互作用を解析し、Cdk2インヒビターであるp21/Cip1/Sdi/1/Waf1(以下p21で統一)のみがc-Mycと強い結合活性を示した。p21はcdk2のキナーゼ活性を抑制し、同時にPCNAと結合しDNA複製、修復を抑制する。p21はc-Mycの転写活性化ドメインに、c-Mycはp21のPCNA結合領域に拮抗的結合し、p21に複製活性の抑制を解除し、逆にp21はc-Myc転写能を抑制した。これはp21がc-Myc結合配列E-box上のc-Myc/Maxからc-Mycを吸収しMax/Max homodimerに転換することで証明された。更に、p21のPCNA, c-Myc結合領域に結合する因子としてTOK-1と名付けた新規タンパク質を同定した。TOK-1はp21のCdk2活性抑制の促進因子として機能し、G1アレストを起こす細胞周期調節因子であった。TOK-1α単独でc-Mycと複合体形成することでc-Mycの転写活性化の抑制を行っていた。 2.TOK-1結合タンパク質の同定 TOK-1結合タンパク質を同定するために、FLAG-tagをつけたTOK-1を292T細胞にtransfection後、抗FLAG抗体で免疫沈降し、共沈降するタンパク質をTOF-MS解析した。結果として、Hsp70,Hsp90が得られ、これらの抗体を使って、TOK-1との結合を確認した。TOK-1の新たな機能がこれらのタンパク質との解析により明らかになることが期待された。
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