研究課題
若手研究(B)
薬物精神依存におけるグリア細胞の役割を詳細に解析するため、薬物精神依存に重要な役割を果たす中脳腹側被蓋野(VTA)、側坐核(NAc)、および内側前頭前皮質(mPFC)をそれぞれ含む3枚の切片をラット胎仔より作製し、隣接させて共培養することにより中脳皮質辺縁脳切片共培養系を作製した。本脳切片共培養系中にVTAからNAcおよびmPFCに投射するTH陽性のドパミン神経が多数存在することを確認した。メタンフェタミン(METH)、モルヒネ、コカイン、MDMAを処置すると、細胞外へのドパミン遊離が濃度依存的に促進された。また、メタンフェタミン(1-1000μM)を48時間処置することにより、NAcおよびmPFCにおいて、アストロサイトの活性化を示す形態変化が観察されたが、VTAにおいてはそのような変化はほとんど認められなかった。また、NAcにおけるグリア型グルタミン酸トランスポーターGLT-1の発現変化をwestern blotおよび免疫染色により検討したところ、METHの処置により濃度依存的かつ有意なGLT-1発現量の減少が認められた。また、昨年度作製した放射性標識グルタミン酸トランスポーター(EAAT)阻害薬[^<125>I]I-BzA-TBOAおよび[^3H]EtB-TBOAを用いて、EAAT各サブタイプ(EAAT1-5)に対する結合親和性を求め、さらに、各サブタイプに対する既存のEAATリガンドのKi値を算出した。次に、ラット各脳部位に対する結合親和性(Kd値)および発現量(Bmax)を求めたところ、いずれの部位においても高親和性かつ高密度の結合が認められた。脳および脊髄の切片を用い、各領域における結合を測定し、さらにEAAT2選択的阻害剤を用いることにより、その分布および割合を算出した。
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