研究概要 |
1.ラット精巣間質細胞を用いて大麻主成分であるカンナビノイド3種[Δ^9-tetrahydrocannabinol(THC),cannabidiol(CBD),cannabinol(CBN)]添加によるSteroidogenic acute regulatory (StAR) protein発現への影響を調べた。RT-PCRによりいずれのカンナビノイドも10μM以上の添加でStAR mRNA発現が阻害されることを確認した。StARタンパク質発現量はいずれのカンナビノイドも1μM添加では変化は認められなかったが、10μM以上の添加でその発現は減少した。特に、カンナビノイド100μM添加でStARタンパク質発現量はcontrolの20%程度まで著しく減少した。この結果からカンナビノイドによるテストステロン生合成阻害作用にはStARタンパク質の発現阻害が関与すると考えられた。 2.カンナビノイドによるラット精巣間質細胞に対する毒性についてもLDH(乳酸脱水素酵素)assay法を用いて検討した。LDH assayによりΔ^9-THC及びCBNは10μM以上、CBDでは100μM以上の添加で有意に細胞毒性を示したことから、これらカンナビノイドは精巣間質細胞の細胞膜に対して傷害を与えると考えられた。 3.ラット精巣ミクロソームを用いてデヒドロエピアンドロステロンを基質とした3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素活性のカンナビノイドによる阻害作用について検討した。酵素活性はカンナビノイドの添加により有意に阻害され、その阻害作用の強さはΔ^9-THC>CBN>CBDであり、幻覚成分であるΔ^9-THCが最も強い阻害作用を示した。
|