研究課題
若手研究(B)
細胞内で古くなったオルガネラや構造タンパク質、あるいは不溶性のタンパク質などの「長寿命タンパク質」はリソソーム・オートファジー系によって非特異的に分解され、その分解産物は細胞によって再利用される。この過程ではタンパク質加水分解酵素であるカテプシンB、D、Lが主要な役割を果たす。オートファジーは、酵母からヒトまで真核生物に普遍的に保存された現象であり、細胞内の古くなった構造物を一部の細胞質と共に非特異的に取り囲むことでオートファゴソームを形成し、そこに小胞輸送された(あるいはリソソームと癒合することで)リソソーム酵素が加わり分解が進む現象である。多くの神経変性疾患では神経細胞に封入体が観察され、それが神経細胞の死に関与し、封入体を速やかに除去することが神経細胞の死の回避につながる可能性が指摘されている。封入体はユビキチン・プロテアソーム系の異常で形成されると考えられているが、最近オートファジーを抑制することによって封入体が蓄積することが明らかになった。本年度は、カテプシンDノックアウトマウスとカテプシンB・Lダブルノックアウトマウスの中枢神経系での解析を行い、両マウスともリソソーム蓄積症のモデルマウスであることを示し、オートファジーがその病因に大きく関与していることを示した(Am J Pathol. 167(6):1713-28.)。すなわち、オートファジーを促進する因子として、カテプシンD欠損により分解されない物質がリソソームに残るが、それらの非分解産物がオートファジーを促進することが分かった。カテプシンD欠損マウス脳よりリソソームを単離精製し、プロテオーム解析を行った。その中からいくつかの陽性スポットを見つけた。
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