研究課題/領域番号 |
16790132
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
木村 良一 弘前大学, 医学部, 助手 (20343022)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 黒質 / ドパミン性ニューロン / イプタカリム / ロテノン / ATP-感受性K+チャネル / ミトコンドリア膜電位 / α7-ACh受容体 / γオッシレーション / 海馬 / methyllycaconitine / ニコチン / 認知機能 |
研究概要 |
平成16年度に、海馬機能とてんかん発症の関連性の視点から、海馬ニューロンにあるα7-nACh受容体機能の解析を行い、この受容体がγ-オッシレーションの発生に関与していることを明らかにした(Neuropharmacology 48:869-880,2005)。今回はパーキンソン病と関係する黒質のドパミン性ニューロンの代謝性ストレスに対して保護する作用を有するといわれるイプタカリム(Ipt)の作用機構について検討した。実験では、ラット黒質より単一ニューロンを分離し、パッチクランプ法を適用して、膜電位、膜電流を測定した。ドパミン性ニューロンの確認は、ロテノンあるいはジアゾキサイドで過分極の発生することを指標とした。まず、薬理学的手法と免疫組織化学法より、ドパミン性ニューロンには、Kir6.2/SUR1の複合体よりなるATP-感受性K^+チャネル(K_<ATP>チャネル)の存在が確認された。300μM以下の濃度では、Iptはドパミン性ニューロンの膜電位に影響しなかったが、それ以上の濃度ではニューロンの活動電位の発火頻度を促進した。ロテノンで過分極を誘発し、活動電位発火が消失したニューロンにおいて、Iptは活動電位を発火させた。Iptはロテノンで誘発される外向き電流を濃度依存的に阻害した。一方、ドパミン性ニューロンをローダミン処理し、ミトコンドリア膜の電位変化をみたところ、Iptはこれに影響せず、また、ロテノンで誘発される脱分極に対しても効果はなかった。以上の結果から、黒質のドパミン性ニューロンにおいて、Iptは細胞膜やミトコンドリア膜のK_<ATP>チャネルを開く作用がないこと、むしろ、Iptは細胞質のK_<ATP>チャネルを閉鎖すること、が明らかになった。このことは、Iptのニューロンの代謝性ストレスに対する保護作用が、ミトコンドリア膜の電気的特性への影響ではないことを示している。
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