研究課題
若手研究(B)
血管平滑筋のトーヌス調節において、ノルアドレナリンなどの生理活性物質が果たす役割もさることながら、血管平滑筋に備わる"自己調節機構"は極めて重要である。しかしながら、その制御機構に関する知見は乏しく、詳細な解析が必要である。本研究では、血管平滑筋トーヌスの調節機構のうち、特にRho-Rhoキナーゼからなるカルシウム感受性調節に的を絞って、伸展刺激によるその制御分子機構を明らかにすることを目的とした。本研究によって、血管内圧に由来する伸展力が、従来考えられていたCa^<2+>-MLCK系以外にRho-Rhoキナーゼから成るCa^<2+>に対する感受性調節系により血管平滑筋トーヌスを制御している可能性が示された。このRho-Rhoキナーゼ及びミオシン・ホスファターゼ調節系において注目すべき事は、新規脂質キナーゼが大きく関与していることが薬理学的な解析から明らかになった点である。これを受けて、現在この脂質キナーゼの遺伝子欠損マウスの作製に取りかかっている。既に組換えES細胞を樹立後、凝集法によりキメラマウス及びヘテロ変異体マウスの作製に成功している。今後、ホモ変異体マウスの表現型の解析を始め、ホモ変異体マウス由来の摘出血管及び培養血管平滑筋細胞を用いた血管トーヌス制御機構を解析することが可能である。これにより、伸展力の作用機序の全貌が明らかにすることによって、将来的には血管トーヌス自己調節機構を標的とした新しい薬剤の開発も期待できる。これらの薬物は、脳循環改善薬、高血圧治療薬、抗血管れん縮薬として期待される。
すべて 2006 2005
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Biochemical Journal 394
ページ: 581-592
Exp.Cell Res. (In press)
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