研究概要 |
活性酸素種は生体内で様々な応答を引き起こす。形質膜越えのCa2+流入もその一つであるが、その分子実体については明らかにされていなかった。私はこれまでに活性酸素種により活性化されるチャネルとして、TRPM2,TRPC5の同定に成功した。本申請ではそれらの活性化機構及び生理的意義の解明を第一義としてきた。 (活性化機構解明)チャネル結合蛋白質の同定を免疫沈降法にて試みたところ、TRPM2チャネルにはEFHC1蛋白質、TRPC5にはeNOS(endothelial NO synthase)蛋白質の同定に成功した。これらの蛋白質が結合することにより、TRPM2、TRPC5チャネル活性がそれぞれ増強されること、さらにeNOSに関してはNO産生活性も増加することを見出した。(投稿準備中)。また、EFHC1蛋白質は若年性てんかん症の原因遺伝子であり、R-type電位依存性Caチャネルとの結合が見られR-type電流が増強することにより神経細胞死が見られること、さらにEFHC1点変異によりR-type依存的な細胞死が抑制されることを明らかにした(Nat.Genet,36,842-846(2004))。 (生理的意義解明)TRPM2、TRPC5遺伝子欠損マウスの作製を試みた。これまでにTRPM2遺伝子欠損マウスの解析を中心に行っており、免疫系細胞、特に単球などでのサイトカイン産生、好中球の遊走能減弱が見られた。TRPC5遺伝子欠損マウスはCre-loxPシステムを用いて現在作製中である。
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