研究課題/領域番号 |
16790207
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
尾崎 充彦 鳥取大学, 大学院医学系研究科, 助手 (40325006)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | RUNX3 / アデノウイルスベクター / Tet-On system / アポトーシス / ヒト口腔癌 / ヒト食道癌 / ヒト肺癌 / ヒト胃癌 |
研究概要 |
本研究では、申請者により作製されたRUNX3特異的抗体を用い、ヒト口腔組織標本169例、ヒト食道組織標本114例およびヒト肺組織標本115例を用い免疫組織化学的に発現解析をおこなった。正常口腔粘膜および正常食道粘膜においてRUNX3蛋白は有棘層から表層の細胞に発現しており、増殖帯である基底層における発現はなかった。一方、口腔および食道扁平上皮癌においてRUNX3陽性細胞は、主として癌真珠に観察された。RUNX3陽性細胞率は扁平上皮癌において高分化癌、中分化癌、低分化癌の順で有意に減少していた(P<0.01)。さらに口腔扁平上皮癌におけるRUNX3陽性細胞率は、ki-67陽性細胞率と有意に逆相関していた(P<0.001)。従って、RUNX3蛋白発現は、口腔および食道粘膜、口腔および食道扁平上皮癌において組織学的分化度および細胞増殖と負の相関を示すことが見いだされた。一方、肺胞組織においてRUNX3蛋白はII型肺胞上皮に発現し、肺腺癌におけるRUNX3陽性細胞は、細気管支肺胞上皮(BAC)型に多く、非BAC型には発現していなかった。RUNX3蛋白の3つのバリアント(RUNX3/P46,P44,P27)の内、口腔および肺組織においてはP44のみ、食道組織においてはP44およびP27を発現していた。RUNX3陽性細胞率を計測し、口腔および食道扁平上皮癌においては5%、肺腺癌においては10%をカットオフ値とし、高発現群と低発現群に分類した場合、いずれにおいても有意差をもって後者で予後不良であった(P<0.05)。 ヒト胃癌細胞において転写因子として機能するRUNX3蛋白の発現が細胞増殖に与える影響を検索するため、Tet-On systemを用いたRUNX3発現アデノウイルスベクターを構築した。本ベクターをヒト胃癌細胞株MKN-1に感染させ、ドキシサイクリン添加により経時的にRUNX3蛋白発現が誘導された。細胞内局在は主として核であり、転写因子として機能している可能性を示唆した。RUNX3蛋白発現により、アポトーシスが誘導されていることをフローサイトメトリーおよびヘキスト染色により確認した。本研究にて構築したベクターが、RUNX3の機能解析に有用であることが示唆された。
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