研究課題
若手研究(B)
デング熱・デング出血熱はデングウイルスにより引き起こされる感染症であり、熱帯・亜熱帯地方において年間数千万〜1億人が発症している。デングウイルス感染症の多くは比較的軽度の熱性疾患であるデング熱であるが、まれに出血傾向や血漿漏出を伴うデング出血熱も観察され、適切な治療が行われないと死に至る。昨年には日本人海外渡航者1人がデング出血熱で死亡している。このように深刻な疾患ではあるが、出血熱発症機序は解明されていない。この理由として、マウスなどの発症モデル動物が存在しないこと、ウイルス学的解析の遅れなどが挙げられる。申請者はマウスにデング出血熱様症状を引き起こすデングウイルス株の作成することを最終目標とし、これまでにデングウイルスに関する基盤的研究を進めてきた。本年度は、昨年度までに確立したデング1型ウイルスの感染性分子クローンからのウイルス産生系(Tajima et al.,2006)を用いて3‘非翻訳領球の解析を行なった。その結果、1)これまでウイルス増殖には関与しないと考えられてきた3'非翻訳領域内の可変領域が哺乳動物細胞での効率的な増殖に関与すること、2)蚊細胞では可変領域は重要でないこと、3)可変領域はその性質、(配列長依存性、配列依存性)から2つに分けられることを見出した(投稿中)。一方構造遺伝子領域をRenillaルシフェラーゼ遺伝子に置換したレポーターレプリコンクローンを3種類作成した。これらのクローンから合成したRNAを培養細胞に導入し複製されるかを観察したが、いずれも複製は確認されなかった。
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