研究課題/領域番号 |
16790280
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
習田 昌裕 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10356256)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | HCV / 酸化ストレス / ゲノム不安定化 / 遺伝子不安定化 / ROS / DNA障害 |
研究概要 |
本年度の成果: 前年度、HCVの全長遺伝子をCre-loxP組換えにより誘導発現させたHepG2細胞において、H_2O_2を主とするROSが過剰産生している事を明らかにした。更に本年度、ROSの過剰産生を認めた細胞において、ROS等により引き起こされる塩基損傷の修復中間体であるAP(Apurinic/Apyrimidinic)部位が上昇している事実を明らかにし、HCV遺伝子発現に伴うROSの産生が宿主DNAに損傷を与える可能性を示した。また、HCV全長遺伝子発現に伴うROS過剰産生に寄与するHCV遺伝子を同定するため、HCVの各8遺伝子を発現するレンチウイルス発現系を構築し、それらを安定発現するHeLa細胞及びHepG2細胞を作成した。その細胞を用いて細胞内ROSを定量した結果、現在までに報告されているNS5Aに加え、NS2,NS3-4Aの非構造遺伝子が、ROSの過剰産生を起こしていた。 我々は前年度、HCV Coreを一過性発現させたHeLa細胞において、カンプトテシンにより起こしたDNA二重差切断(DSB)の修復が阻害される事を見出した。本年度更にレンチウイルス発現系により、各HCV遺伝子を安定発現させた肝細胞株を用いてガンマ線感受性を指標にし、DSB修復能を評価した。その結果、HCV Core蛋白質を発現する肝細胞株においてガンマ線感受性が上昇していた。更に非構造蛋白質の幾つかにおいても、感受性が増強しており、複数のHCV遺伝子が、DSB修復を阻害している可能性が示された。 以上より、HCVの慢性感染が、ROSを介して積極的にDNA障害を誘導し、更にDSB等の修復を阻害する事でゲノム不安定化を引き起こす可能性が示された。
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