研究課題/領域番号 |
16790287
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
前川 洋一 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10294670)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | Tリンパ球 / 細胞分化 / 細胞系譜決定 / Th1 / Th2 / Notch / CTL |
研究概要 |
Tリンパ球の活性化とそれに引き続く機能的分化は、抗原受容体からの刺激と様々な副刺激の協調により精巧に制御されている。CD4陽性Tリンパ球は1型(Th1)あるいは2型(Th2)ヘルパーTリンパ球へと分化し各々のタイプが最適な免疫応答を司っている。また、Th1とTh2分化の異常により感染症や膠原病の疾患感受性が劇的に変化することから、この分化決定機序を明らかにすることは重要である。CD4陽性Tリンパ球は抗原刺激と同時にNotchリガンドの一つであるDelta1によって刺激されると選択的にTh1が誘導されるという研究代表者らの従来の研究を踏まえて、本研究ではDelta1以外のNotchリガンドであるJagged1,2とDelta3,4のCD4陽性Tリンパ球の活性化及び分化における機能の違いを検討することを目的とした。また、CD8陽性Tリンパ球の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)への分化においてもNotch分子による制御を受けているかどうかを検討した。 CD8陽性Tリンパ球の活性化とCTLへの分化においてもNotch分子が関与する事が明らかとなった。Delta1による刺激ではCTL分化の促進が、またJagged1では抑制が試験管内での実験により観察された。Delta1によるCTL分化の促進はCD8陽性Tリンパ球上のNotch2分子(受容体)により介在される事も判明した。また、生体内においても抗原提示樹状細胞でのDelta1分子の発現を低下させる事により、CTL分化が抑制される結果を得た。CTL分化にT-box転写因子であるeomesodermin(Eomes)が関与するという報告があるが、Delta1-Notch2経路によるCTL分化の誘導はEomes非依存的なものであった。また、Notch2によるCTL機能分子granzymeBの発現には、転写コアクチベーターであるMaml1が必要である事もわかった。 以上より、CD4陽性Tリンパ球のTh1への分化とCD8陽性Tリンパ球のCTL分化という広義の細胞性免疫応答が、NotchリガンドのうちDelta1により統合的に制御されている事が明らかとなった。今回の知見から、感染症や自己免疫疾患の発症機序解明とその克服に対してNotchシステムを中心とした分子基盤確立の礎ができたと考えられる。
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