研究概要 |
本研究では,職業性ストレスモデルとして代表的な「仕事の要求度-コントロール-サポートモデル」と「努力-報酬不均衡モデル」の2つを取り上げ,1)職業性ストレスが健康に及ぼす影響の個人差とそのメカニズムを,対処行動に注目して明らかにすること,2)職場環境と個人の双方を考慮したストレス対処プログラムを開発し,その効果評価を行うこと,の2点を目的とした.本年度は以下の4点に関する検討を行った. 1.文献レビュー 職業性ストレスモデルのうち,特に「仕事の要求度-コントロール-サポートモデル」に注目し,同モデルのメカニズムとその個人差要因についての文献を収集した. 2.実証研究 「仕事の要求度-コントロール-サポートモデル」の個人差要因の1つとしてストレス対処方法に注目し,精神的健康状態,職務満足感,仕事のパフォーマンスとの関連について縦断データを用いて検討した. 3.eラーニングを用いた介入 従業員のストレス対処能力の向上を目的に開発されたeラーニング教材を用いて無作為化対照試験を行い,教材の学習効果を検討した. 4.グループワークによる介入 従業員のストレス対処能力の向上を目的としたグループワーク形式の研修を行い,無作為化対照試験デザインを用いて,研修効果を検討した. 5.UWES-Jの開発 仕事に関する積極的態度を測定するためのUtrecht Work Engagement Scaleを日本語に翻訳し,企業従業員300名のデータを用いて,信頼性と妥当性の検討を行った.
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