研究課題/領域番号 |
16790363
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
松田 洋和 宮崎大学, 医学部, 助手 (10363582)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 法医学 / 外傷 / 骨格筋損傷 / ELISA / β-enolase / myosin heavy chain / 逸脱酵素 / メディカルチェック / 酵素免疫測定法 |
研究概要 |
本年度はmultiplex-ELISAの開発並びにその応用について検討した。即ち、ヒト骨格筋より精製した筋形質蛋白質β-enolase及び筋構造蛋白質myosin heavy chain(MHC)をウサギに免疫して、それぞれの特異抗体を作製した。得られた抗体はマレイミド・ヒンジ法に従って、anti-human β-enolase Fab'-peroxidase conjugate及びanti-human MHC Fab'-β-galactosidase coujugateに調製した。尚、(株)エーザイの協力を得てβ-enolaseのモノクローナル抗体の作製を試みたが、ヒト及びマウスβ-enolaseの高いホモロジー(96%)により抗体を得ることができず、本研究ではウサギポリクローナル抗体を用いることとした。そこで先ず、作製した酵素標識抗体を用いてβ-enolase及びMHCをsandwich-ELISA法で測定したところ、β-enolaseの検出限界は0.3fmol/assay(26pg/assay)、MHCでは0.3fmol/assay(54pg/assay)で、高感度測定が可能であったことから、これらの抗体を用いてmultiplex-ELISAの開発を行った。測定にはanti-humanβ-enolase IgG及びanti-human MHC IgGを1:1の割合で固相化したポリスチレンビーズを用い、酵素活性測定基質は単独測定時の1/2量で混合したものを用いた。その結果、multiplex-ELISAでは単独測定に比較しシグナル(螢光強度)の低下は認められたものの、検出感度の低下は軽度にとどまり、1つの固相で2種類の抗原を同時に高感度に測定することが可能であった。そこで骨格筋損傷モデルとして、インフォームドコンセントを得た整形外科手術患者、マラソン及びトライアスロン選手から血液を採取し、β-enolase及びMHCの血中濃度の変化を測定した。マラソン・トライアスロン選手については、競技前・直後の血中濃度を測定したところ、β-enolaseは競技直後から血中濃度が上昇するのに対し、MHCには殆ど変化を認めなかった。一方、外科手術患者については術直後から10日後まで経時的に採取した血液について検討したところ、β-enolaseは術直後から血中濃度が上昇し、術後2〜3日目に基準値レベルに戻るのに対し、MHCは術直後は殆ど変化がなく、術後1日前後から濃度の上昇を認め、3〜5日にピークを迎え、その後は暫時減少することが確認された。これらのことから、筋形質蛋白質β-enolaseと筋構造蛋白質MHCの血中濃度を同時に測定・比較検討することで、骨格筋に生じた機能的或いは構造的傷害を客観的に評価することが可能となり、従って本法は骨格筋傷害の判定に有用な方法に成り得るものと考えられた。
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