研究概要 |
8週齢の雄Balb/cマウスにアセトアミノフェン(750mg/kg)を腹腔内投与し,肝障害を惹起させ,生存率を検討した.また,経時的にそれぞれマウスを屠殺し,血液ならびに肝臓を採取して試料とした. 1.生存率の検討 アセトアミノフェン投与後の経時的な生存率を算出したところ,12時間後では約70%,24時間後では約50%であった. 2.血清肝逸脱酵素の検討 経時的に採取した血液の一部を血清分離して,血清肝逸脱酵素の測定を行ったころ,アセトアミノフェン投与前(ALT:25±7IU/L,AST:59±9IU/L)と比べて,投与後10および24時間(ALT:>6,500IU/L,AST:>2,000IU/L)で,有意に上昇しており,肝障害が惹起されていることが確認された. 3.病理組織学的および免疫組織化学的検討 経時的に採取した肝組織を10%PBS緩衝ホルマリン溶液で固定し,パラフィン包埋切片を作成した.各切片についてHE染色を行い,形態学的変化を観察したところ,アセトアミノフェン投与後10および24時間の肝組織において,小葉中心性に出血および肝細胞の壊死を認めた.さらに,好中球,マクロファージ,およびT細胞に対する抗体をそれぞれ用いて免疫組織化学染色を行ったところ,いずれの細胞についても,アセトアミノフェン投与後,著明に浸潤していることを認めた. 4.サイトカイン・ケモカインの遺伝子発現の検討 経時的に採取した肝組織より,total RNAを抽出し,RT-PCR法を用いて種々の分子の遺伝子発現を検討したところ,炎症性サイトカインであるIFN-γ,TNF-α,IL-1,IL-6が有意に増加していることが判明した.さらには,好中球に対して作用するケモカインMIP-2,KC,およびマクロファージに対して作用するケモカインMCP-1,MIP-1αも有意に増加していることが判明した.
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