研究概要 |
HLA-A3スーパータイプのHLAに提示される癌退縮抗原のそれぞれのHLA分子との結合性、免疫原性を比較、確認、更に、CTL誘導能を検討し、ペプチドワクチンとして使用可能性を検討した。HLA-A31拘束性ペプチドにおいてβ-tublin5 154-161,β-tublin5 309-317,CGI37 72-80の3種について、他のHLA-A3スーパータイプの癌患者末梢血においてもそれぞれのHLA拘束性にペプチド特異的CTLを誘導し得た。HLA-A33拘束性ペプチドにおいてRan 87-95, IEX (immediate early response X)-1 47-56, IEX 61-69の3ペプチドで、他のHLA-A3スーパータイプの癌患者末梢血においてそれぞれのHLA拘束的にペプチド特異的CTLを誘導した。また前立腺関連抗原ペプチドをHLA-A3スーパーファミリーのbindingモチーフにより42種類用意し、そのうちPSA 16-24, PAP 155-163, PAP248-257, PSMA 207-215, PSMA 431-440の5ペプチドにおいてHLA-A3スーパータイプ拘束性にペプチド特異的CTLが誘導される事を確認した。CTL誘導能は患者由来末梢血単核球をペプチドで刺激して誘導し、ペプチドとの反応性をINF-gamma産生量を指標としELISA法で測定した。CTLの傷害活性はクロムを用い、それぞれHLA拘束性、ペプチド特異的なCTL活性であることを確認した。 これらの癌退縮抗原由来ペプチドはHLA-A3スーパータイプ陽性の癌患者のペプチドワクチン療法の候補として汎用可能であることが確認された。
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